普通の外装に覆われたロケットでなく、ケージ(鳥かご)状のロケットの発射現場にいる。場所はいまのイトーヨーカ堂四街道店のあるあたりだが、様子は違う。ヨーカ堂はなくて更地のようなロケット発射場になっている。
そのロケットは、それほど大きくはない。10階建てビルと同じくらいの高さ。ただ、弾丸形をしたケージ状の機体はずんぐりと太く、外見としてはまさに弾丸、という感じ。
私は、垂直に立っている、というか、発射タワーの上のほうにぶら下がって地面には接触していないケージの外側に、天辺から下のほうに向かって紙テープ状のものを貼ってぶら下がる。
急がないともう発射だ。
というか、もうエンジンは炎を噴射し始めている。
気づくと、同様にロケットの外側にぶら下がる人たちがいる。
紙テープはしっかりと長いのりしろを取って貼らないと衝撃と振動ではがれてしまうのはわかっている。でもロケットはもう上昇しつづけているので私はいったん手を止めて、どんどん下になっていく地面を見ている。
私がぶらさがるために貼っていた紙テープには何か書いてある。
よく見ると、私の一生に起こった出来事だ。
ロケットの長さは有限だから、その内容も「人生ダイジェスト」みたいに要点だけが書いてある。
もちろん「○○大学に進学」みたいな、常識的に言って大きな出来事もあるが、自分も思い出せないような些細に見える出来事、たとえば「Aちゃんが転んだのを見て笑った。」とかいうのもある。
ようやく子供のころのその事件を思い出すが「あれはAちゃんにとってすごくショックだったんだ」と反省してももう取り返しはつかない。これは減点対象だ。
ロケットの下端にまで紙テープを張りながらたどりつく。
さて、テープは余っているけど、この先その余りを延ばしてぶら下がっても、エンジンの炎に巻き込まれそうだ。実際ほかの人がそのようにして核の炎に焼かれながら落ちていった。
というか、炎の近くにいるだけでもまずいんじゃないの?
どうしようかな、と思っていると、いつの間にかロケットは大きさが数キロの巨大なものに変わっていて、外装板もちゃんとある。
自分のいる近くに扉が開いたので中に入る。
ロケットの中は世界そのものだった。
私は新しい人生をはじめるのだ。
引越しとか、転職とか進学とかのときみたいな不安と期待を感じる。
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テレビのクイズ番組みたいな会場にいる。
決勝大会のようで、もうほかにはいかにも天才・秀才という感じの少年少女たちばかり。
私はかなり優秀な解答者のつもりだが、実はそこまでは自信がない。
クイズの問題はもうなんでもあり。
知識を問うものもないわけではないが、ほとんど「このような状況であなたはどうするか」というような、通常「正解というものはない」とされるものばかり。
いや、時には間違った知識が高得点だったりするのだ。
だって人生、誤解から始まって新しい展開がひらけたりするでしょ?
私はわけもわからず問題に取り組むが、自信はあるような、無いような。
「何この問題」というような、意図不明のものもかなり多い。
最初は「よしやるぞ」と、いい緊張感もあったが、いつまでも結果の見えない質問続きに疲れて飽きてきて、半分いやになっている。
私はとうとう「どうでもいいじゃん」とふてくされてしまった。
ある少女が、やはり私と同じように感じていたのか「もうどうでもいいです」と答えたとたんに合格者となり、「スタートレック」の転送シーンみたいに消えていった。
それを見て私も自信が出て「どうでもいいじゃん」とコピペを繰り返すことにした。
だが、それを続けていたら「まじめにやれ、なめるんじゃない」と判定されて不合格に。
私はロケットの機関室のエンジン内への出入り口から飛び込まされ、炎の中で焼かれて落ちていった。
まあでも、炎に焼かれるのも思ったほど苦しくはない。
これも楽しめばいい。
意識がなくなっていくのもある種の快感だ。
最初は怖かった気がするが、もうたくさんの回数を経験しているので慣れっこだ。
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ハッチを開けると、数メートル下には、自然の残った田舎の風景が広がっていた。
池があり、藻が繁殖していて、水中生物もたくさんいる。
この世にはいない、変わったザリガニのような生き物がいる。
はさみが、入れ子状の複雑な形をしている。
「それに触ると、その生き物になれるよ」と大人が促す。
これが一般には「気持ち悪い」と感じる生き物のようで、ほかの子供たちは誰も手を出さないが、
私はなんともないので、得意げに触ってみる。
私の意識はたちまちその「変な甲殻類」の中に入る。
たくさんの脚を動かし歩いてみる。
いままでの人間の体は二足歩行だったから、なれない感覚がもどかしい。
大きな複雑な形をしたはさみを持ち上げると、パシャっと音を立てて水面から上に出た。
眼柄を水上に伸ばすと、水中とは比べ物にならない広大な世界が広がっていた。
深い青空、緑の草木がなんとまぶしいことだろう。
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また鉄骨のケージだ。
ドーム状の空間のなかには釣り鐘のようにさらに小さなドームがぶらさがって、核の炎を下に向かって噴射している。
でもそれは連続した噴射じゃなくて、間欠的だ。
たばこの煙を口から吐いてドーナツ状の煙をつぎつぎに出すのが得意な人がたまにいるでしょう。
そんな感じに赤い炎の固まりを下に向かって「ぽっ、ぽっ」と噴き出している.
どうも「核」のあのマークみたいですよ。
もうこちらは宇宙空間に出ているけど、地上から観測したら「核。危険。」のマークがロケットの後ろで点滅してるってわけだ。
ともかく、またその釣鐘にしがみついて紙テープ貼ってます。
文字は赤と黒で書いてあるな。
赤はマイナス点をつけられた出来事だ。
いま書き換えてもいいの。
でも、必ずしも反対の内容に書き換えれば正解になるってもんじゃあない。
注意深く見ながら、でもぱっと判断して次を見ないといけない。
だって自分はずるずると下にすべりながら作業しているんだもん。
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なんかまた面倒になって外壁にポーンと一発勝負で飛んでいって、あいているハッチにうまく入ろうとする。
なんとか的もはずれず、ハッチのところに飛びついたが、近くで見ると格子状になっていて出れない。
幅10cm,長さ1mくらいのスリットがいっぱいあいている。
どう見ても通れないよ。
でも新情報。
ある少女はあきらめずに何度もトライしてその、どう見ても通り抜け不可能なスリットから外へ出たらしい。
まあやってみます。
そうすると、これ、頑丈な金属に見えたけど、案外やわらかいの。
手のひらから入り、20回目のトライで通り抜けられたよ!!
でもさ、でたらまた宇宙船の中なんだよ。
これ、どこまでマトリョーシカ(ロシアの入れ子構造のこけし人形)なんだよう。
大人が、そんな私の落胆を見透かしたかのように、「本当の外界を見せてあげる」という。
特別なハッチがあって「ほんとうの外」=「私たちの目的地」がじかに見れる。
あらら、宇宙空間にいると思ってたら、案外、というかすごく低いところを飛んでいるんだ。
ずんぐりした飛行船のようなこの機体はくねくね低空飛行をしていた。
地上の景色は美しい。
リゾートが見える。
三好和義の「楽園」シリーズの写真集のような、ステレオタイプの高級リゾート。
白い砂浜、青いさんご礁。平屋建てのコテージに、専用プール。
ありゃ、ミスコンの水着審査会場や海外のグラビア雑誌から抜け出してきたかのような、絵に描いたような美女たちに囲まれて日光浴をしてくつろいでいるのは、
あれは大人になった私自身じゃないの。
白いテーブルのそばではシェフたちが最高の料理を準備している。
「優勝者は天国にご招待」って。。。。。
なんだよこれ。
これが賞品ですか?
なーんだか、すごく低俗な天国だなぁ。。。
こんなもののために、いままで必死に何十万年だか何億年だかの無数の転生を繰り返してきたの?
はぁ。。。。。
一生懸命なやんで、苦労して、、、ばかみたーい。
HIDE