タムロンブロニカクラブ主催のスタジオ撮影セミナーに行って来ました。
講師はカメラ雑誌等でご活躍中の魚住誠一氏です。
このセミナーはアマチュアカメラマンを対象と想定したものと思われ、いちおうプロである私が参加するのはどうか、とも思ったのですが、魚住氏は私の尊敬する写真家の一人なので、その写真の一端でも学べるなら私にとって損はないし、写真を楽しみたいと思っている点ではアマチュアの方々と同様なのですからその資格もあるだろう、と考えました。
そもそも私が魚住氏の存在を知ったのは7,8年ぐらい前のモーターマガジン社の「月刊カメラマン」誌上です。
当時はまだデジカメの時代ではなくて、魚住氏はネガフイルムからのカラープリントをやっていました。
普通は、いかに自然で階調豊かなきれいなプリントを作れるかがカラープリントの「うまい・下手」の基準なわけですが、「ウオズミカラー」はその色感覚が独特でした。不自然だけど味があるのです。
で、当時、そういう創作的な自家カラープリントをする写真家はほかにもたくさんいて、私もできればやりたいな、と思っていたわけです。
だが、カラープリントの敷居は高く感じられた。
自分でプリントをするのは、モノクロでは当たり前のことでも、カラーはフイルター操作があり、薬剤も高く、温度管理が大変で、大掛かりで高価な機材が必要、という認識でした。
ところがある号で魚住氏の暗室(と言っても居室と兼用!)が紹介されたときに私は驚きました。
モノクロ機材に追加するのは数千円で買えるサーモヒーター2台と、これまた2,3千円だったかの「フジカラーホビーキット」あとはカラー印画紙だけ、という簡単なやりかたであのプリントを作っていたのです。
私はすぐにこれを真似し、私なりのカラープリントを楽しむようになりました。
本当に感謝です。
デジカメ時代になって、魚住氏も当然デジタルに移行されたわけですが、あたらしく出されたデジタル技術の著書は最初ちょっと私の心には響かないでいました。
写真もつまんなく感じたし、解説もうまくなかった。
ただ流行りの日中シンクロをなぞってるだけみたいに感じました。
流行に乗ってることというのは、私はむしろ嫌うほうなので。
私の感覚では「流行」=「お洒落」ではないのです。
それが最近また面白いことをかかれるようになりました。
昔と同様の面白さが、魚住氏の場合「簡易な方法」であるという点です。
私はものぐさでビンボーなので、大掛かりだったり複雑な方法は受け付けないのです。
ところが「あんないい写真がこんな単純なことで作れるんだぁ。」という驚きがある。
「目からうろこ」なのです。
だから、今回のセミナーも何か刺激を受けるかな、と。
まず、スタジオに入ってセッティングを見ると、実にオーソドックスなライティング。
私がスタジオマンになったばかりの頃、作品撮りでやったのより単純なくらい。
プロ的なライティングをちょっとかじると、複雑な、あるいは奇抜なライティングをしたくなるものです。
で、複雑なの、奇抜なのをやるのが「うまい」ことのように思ってしまう。
ですが、有名写真家ほど実は単純でオーソドックスなライティングだったりもするんですよ。
これが全身撮り用のセット。

右から大きなブームスタンドで中央に伸ばしている先についているカメラマン位置上にあるカサがメインライト。実にオーソドックスです。
これは根本的には、カメラに直接つけるクリップオンタイプのストロボがただでかくなっただけのことです。
背景の壁に向けている4つのカサは、白バックを白く見せるためのもの(メインライトだけの成り行きだと、モデルより遠くなので暗くなり、背景はグレーになってしまうのです。)
そいで私が注目したのは右側面下のボックスライト。
これはどういうつもりなんだろう。
私は正直、魚住氏のライティング技術はプロとしては高くないほう、たぶん標準的なスタジオマンより低いくらいだと思っている(すみません)ので、
足元の光量が足りないのを補うつもりでヘンなことしてるのかと最初思いました。
スタジオマンになったばかりの頃って、光を足して、足して、ライティングを作ろうとするもんですから、そう思ったわけです。
これは実は、アクセントライトなんですね。
ただきれいに光が回っているだけのライティングって、きれいだけど物足りないんです。
そこで、被写体の一部にメインとは違うライトを当てるということをする。
それだったんです。
ただ、私は、アクセントを面光源でとはあまり考えないんです。
スポットとかグリッド、生ヘッドとかでやる。
でもこれならアクどくなく、輪郭にアクセントがつきます。
「へぇー」と思いました。
基本は単純。でもストレートじゃなくちょっとズラす。
これがウオズミ写真の極意なのかな。なんて思ったり。
こっちは上半身用セット。

メインはやはりカメラ上のカサ。下のボックスはレフ板でも代用できるんだけど、光を回すとともにキャッチライトを二枚貝のような形にする。「クラム・シェル」と言われる、グラビア系のアップ写真ででよくやるライティングです。
屋外だと、曇天で下からレフであおる、というのがこれに相当します。
セミナーは座学的な解説はほとんどなくて、いきなり個別の撮影実習、という感じ。それも指導はほとんどなし。
まあ、このセミナーのメインの目的は、生徒さんたちに「ナマ魚住」にじかに会ってもらう、アマチュアカメラマンがほとんど経験しないスタジオ撮影を経験してもらうってことだったわけで、それは十分に成立していますけど、私としてはもっと指導・解説が欲しかったな。
生徒さんたちのレベル的にも、「ストロボ撮影での露出は(シャッタースピードは固定で)絞りで調節する」ことも理解していない人が多かったように思ったし、「リバーサルでの女性ポートレイトはオーバー露出にする」ことも知らない人が来ていた。
全身の立ち姿は遠くから望遠でカメラ位置低めで撮るという基本とか。
そのへんのフォローも不足していたように思う。
無駄にカメラ位置を右左と動いている人もいたし。
屋外のモデル撮影会とは違う撮り方になることが生徒さんたちには理解されてなかった。
でもともかくモデルさんもかわい・きれいだったし、楽しかったです。
ちなみに趣味モードだからカメラはEOSじゃなくPENTAX *istD。
ペンタックスのデジタル一眼レフで唯一シンクロ端子がついているやつ。
スタジオで大型ストロボ使うからこのカメラを選んだ。
この点では最新型のK10Dよりも一番旧式の*istDのほうがすぐれています。
いんやこれはついていて当然なんだから、*istDがすぐれているんじゃなくてK10Dがダメなの。
レンズはタムロン18-250mm。
タムロンのセミナーだし。ストロボだからどうせF8~16程度に絞るんだろうから、と。
実は会場は私の出身スタジオだったのですが、スタジオ内で生徒にまじっている私をマネージャーが見つけて「何やってんの」、「生徒です」、「(プロのくせにアマチュア向けの撮影会に出席するなんて)お前も変わったやつだねぇ。」というやりとりがありましたとさ。
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